感性を動かしてくれるもの。
絵、音楽、文章。
僕にとっては食事も、その一つです。
美味しい料理を出してくれる店は星の数ほどあるし、自分で作ることだって好奇心と記録とほんの少しの勇気があれば、おそらく誰にでもできる。
でも、それは食事という出来事のほんの一部。
誰と、どんな場所で、どんな話をしながら、何を食べ、何を感じ、何が残ったか。
食事とは再現することのできないライブであり、一期一会の出会いであり、別れのようなもの。だからこそ心に残る食事は人生の宝だと思うのです。
僕には心の奥底に染み入る忘れられない食事の経験が何度かあります。
それを覚えていられることは、本当に幸いなことです。
さて、そんな日に相応しい料理を一つ。
といってもこれは僕が考えたものではなく、とあるバーで出されたもの。
バーメニューはだいたい簡素な設備でささっと作るので、簡単で気の利いたものが多く、いつも学びがあります。
レシピを訊いたわけではないけれど、気に入って何度も作ってきたので、ここでお裾分け。
といっても若竹煮の若布をオイルサーディンに変えるだけなので、それでわかるわ、という方はご自身のレシピでお作りになってください。
きっとその方が美味しいし、素敵な食事になります。
オイルサーディンと筍の煮物
◆材料(2~3人分)
- オイルサーディン・・・1缶(100g程度)
- 筍の水煮・・・1本
- だし汁・・・1カップ
- 醤油・・・大さじ1~1.5*1
- みりん・・・大さじ1
◆作り方
- 筍を半分に切り、たっぷりの湯で10分~15分下茹でして臭みを取る。水煮の臭みが苦手な方は、茹で湯にお酒を少し。
付着している白いものは結晶化したチロシン。水に溶けないので下茹でしても残りますが、ノルアドレナリンやドーパミンの分泌を促すアミノ酸なのでそのままにしておくのがおすすめ
- 筍をザルにあけ、2等分された筍をさらに縦半分に切って4等分。根元の方は1cmくらいの厚さに、穂先は長めに残す(さらに縦半分にしておくと美しいですが今回は忘れました)。
- 鍋に筍を入れ、だし汁と醤油、みりんを加えて火にかける。沸騰したら中火で7、8分。
- オイルサーディンを加える。
- 弱めの中火で5分。オイルサーディンは柔らかいのでなるべく触らない。そっと。
- 煮上がったらしばらくそのままにして、味が馴染んでから盛り付ける。
木の芽でもあれば添えてください。
簡単で、ご飯にも日本酒にも洋酒にも合う一品です。
竹の子とオイルサーディンの煮物は、レシピを探しても無かったので勘で作りました。竹の子が水煮の場合は15分下茹でしてお湯を捨て、あとは一般的な若竹煮のレシピで若布の代わりにオイルサーディンを入れるだけです。簡単で美味しいので是非。 pic.twitter.com/yJbehUDOEf
— kazh (@kazhomely) 2017年6月18日
言葉にならない想いが後からじんわりとお腹をあたためてくれる。
これを読んでくださった方の生きる道が、そんな食事と共にありますように。
*1:若竹煮に添うなら醤油は大さじ1。酒のつまみにするなら1.5くらいでも良いと思います