雑記

父の背中

先日、何気なくGoogle検索していたら、なんとも思いがけないものを見つけた。 とある古書店のサイトで、『VOU』という古い雑誌のインデックスに、父と同姓同名の名前が書かれていたのだ。 『VOU』というのは、明治から昭和の半ばまでを生きたモダニズム詩人…

トマムで雲海を見たら家に帰れなくなった話

もうずいぶん前になるが、今年は久しぶりに北海道に行った。 今の職場には、いわゆる社員旅行の代わりとして、前年度の全体業績に応じて社員の交流企画に補助を出す制度がある。昨年度はそれなりに業績が良かったので、それなりの金額が支給されることになっ…

Adieu, mon frère.

これは悲しい物語ではない。 社会の片隅に生きるひとりの人間が、世界の片隅に生きたひとりの人間に救われた。そういう話だ。 — 昔々あるところに、男がいた。 男かどうか訊いたわけではないけれど、少なくとも表面的にはそうであったと思う。 朝から熱心に…

8年ぶりの台湾とタピオカミルクティー

先日、1日だけ休みをとって友人家族と久しぶりの台湾旅行に行った。 前回行ったのは2011年6月だから、もう8年も前もことだ。 直前に震災があり、旅行そのものを取り止めようかとも悩んだけれど、たいした被害を受けなかった人間が経済活動を自粛するのは逆効…

そろそろセクシャリティの話をしようか

セクシャリティ。性の属性、プロフィール。 最近はSNSでもこうした話題をよく目にするようになりました。 僕はそういった話を決してタブーだとは思いません。かといって、自ら積極的に話してもこなかった。それは、セクシャリティが政治や宗教と同じように、…

草花のこと 令和の春編

前回記事を公開した後で、改元について全然触れていなかったことに気がついた。 元々GW前に公開しようとしていた記事だったのでその辺何も考えていなかったのだけど、令和という名前は結構好きだし、めでたい雰囲気で改元を迎えられることがあるとは想像もし…

人生を変えた少し不思議な本と本屋の話

先日、めずらしく都市伝説系のツイートが流れてきて、リンク先のサイトを見ていたらふと思い出した出来事。 まだスマホもなかった時代。一人暮らしの高校生だった僕は、金はないけど時間だけは豊富に持ち合わせていて、夕方の街をあてもなく散歩するのが好き…

不死鳥墜つ

父方の祖母と最後に会ったのは昨年の9月。 転んで足を悪くし特養老に入った祖母は、ほぼ寝たきりで過ごしていたせいか意識が虚ろになっていた。 ずいぶん前から同じ質問を何度も繰り返したり近しい親族を忘れたり、軽い痴呆の症状が出ても妻や息子の前ではな…

イカすパーティー、イカパーティー

10月のある日、僕はひとりで早朝の新幹線に乗っていた。向かうのは大阪、鳳のとある食堂。こうして早起きして出かけることも、縁もゆかりもない土地へひとりで向かうことも、僕にとっては珍しい。旅の目的はイカパーティー。というと、なんだそれは、と思う…

秋の小さな冒険

このひと月はとにかく出歩いた日々だった。 前回ゲソタルトの研究開発と制作、報告記事をまとめたところでしばらく創作欲を使い果たし、代わりにたくさん動き回っていた。 その間にいよいよ涼しくなって秋本番。気がつけば暦の上では立冬も近いので、あれか…

草花のこと 荒川編

植物の同定練習、まだ続けています。 おはようございます。ゼニアオイっぽい道端の花。 pic.twitter.com/8ODA3wuR89 — kazh (@kazhomely) June 26, 2018 本当は後でまとめて見られるようハッシュタグを付けたいのだけど、いいのが思い浮かばない‥‥「へべれけ…

夢をカタチにするちから - ごちゃまぜCafeメムの話

先日、知人がカフェを開業したというので、仕事帰りに行ってきました。 知人と言っても、僕と店主の和泉さんは実は1回お会いしただけ。とあるイベントバーで僕が彼女の作ったカレーを食べて「美味い」と感想を漏らし、スイーツをいくつか食べ、さらにカレー…

草花のこと

僕は神奈川県横浜市の片田舎で生まれ育った。 横浜というとちょっとオシャレな街を連想してもらえる地名なのだが、実際は京浜工業地帯の発展に伴って造成された団地のど真ん中だ。「平成狸合戦ぽんぽこ」で狸たちが住処を追われた昭和のニュータウンを想像し…

フォローとリムーブを繰り返すアカウントの話

本当はこういうことを書くつもりのブログではないのですが、なんだか周囲でいろんなフォロワーさんが困惑されてるようなので。 Twitterである程度フォロワーが増えてくると、その中にフォローとリムーブ(フォロー解除)を定期的に繰り返すアカウントがある…

イマソラという「ぼくのえにっき」

ご存じの方も多いと思いますが、TwitterやInstagramのイマソラは文字通り「今の空」を撮って出しするハッシュタグ。ここを開けば、朝昼晩問わず色んな場所の色んな空を見られます。 僕は空を見るのも撮るのも好きで、今ではほぼ毎日(主に朝)挨拶代わりに投…

夢の君

僕の夢に出てくる知り合いは、どんなに荒唐無稽な夢の中であっても常にそれらしく振る舞います。 例えば、上司と知らない惑星に営業に行ったこともあるけれど、それでも上司は僕が知っている上司の通り、その場に適した異星ジョークを飛ばし、意気揚々と僕の…

絵を持つということ

音楽が好きです。そういうと必ず、何が好きですか?と聞かれて答えに窮する。僕には音楽知識がまるでなく、自分が聴いている曲がなんというジャンルに属するのかさえわからない。何人かファンといっても差し支えない音楽家はいるけれど、どこが好きかと問わ…

非日常と日常「ハレとケ」の話

ハレとケ、という概念がある。 ハレとは晴れ。晴れ着、晴れの日、晴れ舞台という言葉通り、飲み会やイベントのような非日常。ケは褻と書き、ハレ以外の時、普段の生活、何も特別なことの起きない日常のこと。 僕はこの概念を、仕事先の山村に研究・調査に来…

花の散る時

少し前、仕事の打合せに向かうため都内の地下鉄に乗っていた時の出来事。 車内はそこそこ混雑していた。 ある駅でドアが開いた時、遠くから子供特有の甲高いざわめきが聞こえた。程なく小学生が大勢乗り込んでくる。僕は子供の声、とりわけ集団になった子供…

小さき者たち

僕は幼い頃から小さなものが好きだった。例えば、植物ならオオイヌノフグリやキュウリグサ、カスマグサというような小さくて可愛い草花が好きで、近所の土手でそういった植物を摘んでは母に手渡していた。小さな石を拾い集め、小さな虫達を何時間でも見てい…

ごあいさつ

さて、10月のある日のこと、ある方の「はてなブログを書いたらいいのに」的なつぶやきを目にしまして、本当にただそれだけのことですが、押してもらった背中に素直に歩き出すことにしました。