レモンを使ってマーマレードを作ろうと考えたのは7年前。
住んでいた下町の家のすぐ近所に果物屋さんがあって、そこで国産のレモンを安く売っていたのがきっかけでした。
当時、都内では国産レモンの流通量がまだ少なくもの珍しかったし、安くて美味しそうだったので何かに使ってみたいと思い、考えついたのがマーマレード。
ここにレモンマーマレードがあるじゃろ?
— kazh (@kazhomely) 2016年12月12日
買ってきたレモンがこうなるまでに、どれだけ莫大な工程があるか、ひとは知らんのじゃ。 pic.twitter.com/A6fxmjybb8
簡単に書くと、レモンマーマレード作りは概ね次のように進行します。*1
- レモンを外皮、実と果汁、それ以外の3つに分解
- 細切りした外皮を茹でこぼして苦みを抜き、茹でてジャム用ピールを作る
- ワタや薄皮を茹でこぼして苦みを抜き、煮出してペクチン液を作る
- ペクチン液と砂糖、レモンピールと実と果汁を煮てジャムにする
- 消毒済の瓶に詰めて脱気する
1日がかりで大変なのですが、物珍しさのせいか評判がよく自分でも美味しかったので、それ以来、家に特別なお客様を迎える時のお土産としてたまに作るようになりました。
前回作ったのが昨年の7/24だから約半年ぶり。今回はTwitterでお世話になった方へのお礼として贈ろうとしたのだけれど、はてさて。
以下はざっくりとした記録です。
まずレモンの両端を切り落とし、6等分。
実と果汁、外皮、種その他の3つに分けていきます。
全てのレモンが3つに分類されたら、外皮をさらに分解。ワタを丁寧に取り除く。※この写真、撮影用に左手を引いていますが、実際はもちろんワタをしっかり押さえて刃を入れないと手を切ります。真似しないでね。
この過程がわりと大変なのですが、Twitterで「先に薄く剥いておけば良いのでは」とご指摘いただきました。確かにそうかも。
もし差し出がましい意見だったらあれなのですが、皮に関しては、先にりんご向きの要領でやってしまって良いのではないですか?柚子皮の時はそうしてから、残ったワタの部分を処理します。
— ふぉ (@Fouringo) 2018年2月3日
ワタを全て取り終えたら、今度はそれを薄く刻む。
レモンの皮は固くて舌にさわるので、0.3mmくらいにするのが理想。でも実際はそんなに集中力が続かない。レモン10個分ともなるとだんだん握力がなくなるし、厚みを調整するために刃を押さえている左の人差し指がスレて痛くなってくる。
途中休憩も挟みながら、なんとか完了。
鍋にひたひたの水を入れて、3度茹でこぼす。沸騰させてはお湯を捨て、また沸騰させては捨て、これを3回。
苦みがほどよく抜けて、これでジャム用ピールの準備完了。
お次はペクチン液。
取り除いた両端、ワタ、種、薄皮を鍋に入れ、同じように3回茹でこぼす。
最後に多めの水を入れて5分ほど煮て漉したら、ジャムを固めるペクチン液となる。
実と果汁、ピール、ペクチン液+3つの重さの約60%の砂糖がマーマレードの原料。ここまでだいたい2、3時間。
保存用のジャム瓶を蒸し器で消毒。
琺瑯鍋にペクチン液と砂糖を入れてとろみが出るまで煮たら、実と果汁を加えて弱火でことこと。綺麗な色と酸味を残すためになるべく加熱は少なくしたい。お玉で掬ってしばらく冷まし、指でつまんでヌルヌルしていたらだいたい大丈夫と云われていますが、今回はここでちょっと嫌な予感がしました。
ともあれ、煮上がったら熱いうちに瓶詰め。
蓋を軽く締めた状態でまた20分蒸し器にかけて消毒。その後30分放置して脱気。そうしたら蓋をきつく閉めて流水で1時間冷やします。
ここの過程は今回写真を撮らなかったので、前回7月のツイートから。
でもまだ工程の3分の2。ここから蒸し器に入れて20分間消毒、それから30分自然に冷まして蓋を完全に閉め、冷水で粗熱を取って、冷蔵庫に入れて、完成するのは翌朝です。 pic.twitter.com/tcIHjADAxC
— kazh (@kazhomely) 2017年7月23日
悪い予感といったのは、今回この時点でのヌルヌルが弱かったから。 7年間で1度だけ、翌朝見たら全然固まっていなかった事があり、なんとなくその時が思い起こされました。
確かめるために、小分けにして冷凍庫に入れておいたものを恐る恐る傾けると‥‥。完全に液体。少なくとも、常温以下になったら多少なりとも動きが緩慢になるようでなければ冷えても固まりません。いっぱい作ったのに‥‥。
そして翌朝。
試しに自宅用の小瓶を開けてみたら、案の定、固まってませんでした。妻曰く、朝方寝惚けて「失敗しちゃったよ‥‥」と呟いていたらしいです。哀しい。
固まらなかった原因は単純で、ペクチン液が薄かったから。
実は今回、1度に10個もレモンを使ったのは初めてで、ワタや種が多すぎて苦くなることを懸念して薄めにしてしまったのです。
味見をしたら、砂糖の甘味がいつもより強かったので、あ、これはペクチン液の濃度が足りなかったんだなと分かりました。
プレゼント用のジャム瓶は早くリベンジに使いたいので、保存用に別の大きな瓶を買ってきて、全投入。なんと900mlの大瓶なのに全然入りきらない。
余りが計500ml(200ml×1、300ml×1)あったので、計1.4l。オランジーナのペットボトルより多いぞ。
せっかくなのでじゃんじゃん使うことにしました。
いつもなら自分用に残すのは200mlたった1瓶で、あまり冒険は出来なかったから良い機会だな、と。
ビターチョコレートにかけて大好きなオランジェットのような味わいを楽しんだり。
鶏肉を白ワイン蒸しにしてソースに使えば、酸味が活きた上品な仕上がりに。
帆立とホンビノスで出汁を取った貝塩ラーメンに加えるとこれまた美味い。
自家製の叉焼を炙ってのせれば濃厚なつまみにもなり。
チーズと組み合わせて生姜焼きに新しい次元が生まれたり毎日が楽しい。
中でも一番気に入ったのは、ボンベイ・サファイアをウィルキンソンの炭酸で割り、マーマレードをたっぷり入れたもの。あまりにも美味しくて、30分足らずの間に3杯も飲んで電気もつけたまま寝てしまいました。
ほぼ毎日使っていますが、なにしろ1.4lあるので、まだまだ一向に減る気配はありません。
今日も、遊びに来てくれた卵アレルギーの女の子に水切りヨーグルトのおやつを作りました。苦みが薄くなってしまったおかげで子供にも好評なので、かえって良かったかも、と思い始めています。
何より嬉しかったのは、失敗したこと、挑戦したことでいろんな方がコメントをくださったこと。
励ましのコメントや、使い道のいろいろなアイデアなど、本当に嬉しかった。
完璧なものをつくるより、こういう時の方が交流が生まれるのかもしれないな、と思った冬の出来事でした。
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*1:これはたまたま最初に見つけたレシピを参考にしただけで、実際にはいろいろな作り方があるようです(茹でこぼすのではなく水にさらして苦みを抜いたり、ペクチン液は種だけ取り出して作ったりすると聞きました)