世にマヨなしポテサラのレシピは数あれど、ポテサラを超えるマヨなしポテサラなし。
いや、決してそんなことはないのですけど、世のレシピはどちらかというと「マヨネーズ以外の味付けでお芋を食べよう!」という方向性で。
僕がマヨなしポテサラを作りたかったのには少し理由があって、
マヨネーズを食べられない知り合いと、ポテサラを異様に好きな知り合いがいて、だからどうしてもマヨなしポテサラを完成させたい。まあ食べさせる機会などないのかもしれないけど。それでもいいんだよ。
— kazh (@kazhomely) 2017年6月13日2017/11/23/234301
理由というか、きっかけというか、要するにマヨなしでありつつポテサラの味わいを持った(可能なら、大人が従来のポテサラよりさらに美味しいと思える)マヨなしポテサラというのはないのか?というのが僕の中にわいた疑問でした。
マヨネーズを使わずに、マヨネーズのような味わいを作る。そのためにまず、マヨネーズの持つ美味しさの要素を自分なりに分解しました。
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程よい塩気
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しっとりしたクリーム感
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卵が持つ重みのあるコク
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体の欲求に応える油分
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後味を良くする酸味
やはりマヨネーズ様すごい。こんなものを別の何かで再現するのは無理なんじゃ‥‥と、諦めてしまってはつまらない。
マヨなしポテサラを作るのにはもちろん前述のきっかけもありますが、なんというかマヨネーズの「オレさえ入れればなんでも美味いんだよ、その代わり入れたら全部オレの味しかしないけどな!」というあのちょっと横柄な感じがあんまり好きじゃない、という理由もあるのです。世の中なんでもかんでもマヨネーズに頼りすぎじゃないですか。
なんとかしてマヨネーズの呪縛から食材たちを解放したい。
例えばサラダのボイル北寄貝とかさ。「ぁ、ボクは食感だけで十分ですぅ‥‥」みたいな顔して簡単にマヨネーズまみれになりやがって。お前には貝としての誇りはないのか!?
まあ、そんな冗談はさておき、マヨネーズ抜きでマヨネーズ料理を作れるようになれば、素材に合わせて風味を変えることも出来るし、料理の幅が格段に広がることは間違いない。
ということで、思いつくまま油と酢と塩分とトロッとした何かという組み合わせで試行錯誤してみました。しかし、なかなか思ったようにはヒットせず。
なにしろ思いつく組み合わせが膨大で、トマト香油をベースにしたり、卵をスクランブルエッグにしてみたり、あっちへ行きこっちへ行き。
あ、これはもう、あてもなく探し当てるのは無理なやつだ、と気づき始めていました。何かよほどの革命が起きない限り、もうたった1つでドーンとそれっぽいものでも見つからないと、答えが出そうにない。
そんなこんなで数ヶ月が過ぎた頃、救世主が。
いつも美味しそうな朝食を作られるフォロワーさんが、5月から6月にかけてザジキソースをのせたザジキパンについて呟かれていて、それがあまりにも美味しそうだったので、たまらず自分でも作り始めたのですが。
そう、求めていたのはまさにこれ。あれほど苦労していたマヨネーズの構成要素の内、酸味、塩気、クリーム感のほとんどをこれ1つでカバーしているし、おまけに胡瓜まで入ってるなんて。これがポテサラにならないわけがない!
ベースが決まれば、後の調整は楽しいものです。
前置きが長くなりましたが、試行錯誤の末、できあがったレシピがこちら。
kazh流 マヨなしポテサラ
◆材料(2~3人分)
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マヨなしポテサラ用ザジキソース
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胡瓜・・・1本
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にんにく・・・1片
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プレーンヨーグルト・・・1パック
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ワインビネガー・・・小1
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レモン汁・・・小2
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塩・・・少々
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じゃが芋・・・中4~6
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オリーブオイル・・・大1
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粉チーズ(パルメザン)・・・大5~
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ハーブソルト・・・適量
※ザジキソースを「マヨなしポテサラ用」としているのは、本来のザジキソースは摺りおろし生ニンニクがガツンと効くところが醍醐味なのですが、これはニンニクをかなり控えめにして、酸味を強めに仕上げているからです。
※余ったソースは冷蔵庫で数日保つので、トーストに生野菜と一緒にのせて食べたりしても美味しくいただけます。ザジキパン最高。
◆作り方
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ギリシャヨーグルトは水気が少ないので、プレーンヨーグルトをヨーグルトドリッパーにあけ、そのまま冷蔵庫で一晩置いて水気を切る。
ヨーグルトドリッパー。物によって形はいろいろ
ドリッパーがなければザルにキッチンペーパーを敷いたものでも作れますが、水切りヨーグルトは使い道がたくさんあるので、最初からドリッパーを買ってしまった方が楽です。安いし
この水分はホエイ。ヨーグリーナなどにも使われている美味しい成分。450gのヨーグルトから200~250ml水分が出たくらいが使いやすい
水が切れるとこんな感じに。もっと時間をかけるとクリームチーズ感が増す
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胡瓜をおろし金で摺りおろし、水気を絞ってボウルに入れ、水切りしたヨーグルト、ワインビネガーとレモン汁、ハーブソルトを加えてよく混ぜる。
皮は剥いても剥かなくてもお好みで。僕は写真のように半分くらい剥くのが好み
あまり経験のない胡瓜の摺りおろし。ギュッと握って水分をよく搾る
もろもろ加えたところ。適当にハーブソルトを加えておくと他の料理にそのまま使いやすい
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最後に潰したニンニクを埋めたら、ラップをして冷蔵庫でしばらく(30分以上)寝かせる。
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芽取りしたじゃが芋*1を茹でる。
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串が通る柔らかさになったら、ざるに空け、表面の濡れた感じがなくなるまでしばらく蒸気を逃がす。
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ボウルに空け、木べらなどでざっくり割る。
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ザジキソースとオリーブオイルを加えて混ぜる。この時点ではドレッシングで和えたような感じ。(2019/05/30追記。最近はここでオリーブオイルを混ぜず、盛り付けてからタラリと垂らしています。その方が美味しい)
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そこに粉チーズを投入。水分、油分がほど良くチーズに吸い込まれたところで、ハーブや塩胡椒で味を調整。塩分は粉チーズに頼った方が美味しい。
ザジキソースの担当は酸味とクリーム感と胡瓜成分。オリーブオイルによる油分を加え、粉チーズが水気の調整とコクと塩気という3方向で役立ってくれています。これで前述のマヨネーズの構成成分は揃う。
大事なのは粉チーズの量。
味を見ながら加えていくと、こんなに入れていいのかな、大丈夫かな、ちょっと入れ過ぎ?と思ったくらいの時に急に水分が無くなり、お、ポテサラ?という感じになる瞬間があるはず。それが最適解です。レシピの分量はあくまで一例、ザジキソースの水分量やじゃが芋の状態によっても変わるので、ご自身の舌を信じることをおすすめします。
完成するとこんな感じ。新じゃがで作った最初の完成版マヨなしポテサラ
マヨネーズと比べてもクリーム感やコクは遜色なく、ビターというかあっさりして大人な味わい。シンプルでワインにも合います。
アレンジもいろいろ。水分を吸収するハードチーズは何でも合いそう。ブルーチーズやレーズンなどを加えても、また違った味わいに。
パルミジャーノ・レッジャーノとミモレットとラム酒漬けレーズンを加えた
一度作るとさまざまなマヨなしマヨ料理に挑戦したくなる沼の入り口。水切りヨーグルトを作るところが最初はちょっと面倒ですが、是非一度お試しください。
*1:使うのが新じゃがでも、芽は必ずよく見て取ってください。「新じゃがは皮ごと食べられる」というのはあくまでも食感の話で、注意点は普通のじゃが芋と同じです。むしろ新じゃがの方が光に当たるとすぐ発芽するらしい。あと緑化している部分も食べない方が無難です。芽や緑化した部分は特に神経毒(ポテトグリコアルカロイド)の含有量が高いとされているからです。子供の許容量は特に少ない(中毒しやすい)ので、新じゃがの場合でも注意してください。