夢をカタチにするちから - ごちゃまぜCafeメムの話

先日、知人がカフェを開業したというので、仕事帰りに行ってきました。

知人と言っても、僕と店主の和泉さんは実は1回お会いしただけ。とあるイベントバーで僕が彼女の作ったカレーを食べて「美味い」と感想を漏らし、スイーツをいくつか食べ、さらにカレーをおかわりしてまた「美味い」と呟いたのが今年の3月。その後Twitterでなんとなく緩やかに繋がりを持っていたという、ただそれだけの間柄だった。

その時彼女はカレーとスイーツの店を作りたくて迷っていると言っていたのだけど、翌4月には早くもクラウドファンディングのCampfireでプロジェクトを立ち上げていた。

正直、僕は驚いた。

カレーを食べながら僕らがした会話の詳細はここには書かないが、少なくともそんな風に行動する方だという印象を持っていなかったからだ。それに、彼女が標榜したのはただのカレー屋、スイーツ屋じゃなかった。

「マイノリティと非マイノリティが相互理解し合えるサードプレイス」

それはとても大きな看板で、僕にはそれがどういう意味を含んでいるのか完全には理解できなかった。

それから僕はたまにTLを覗きながら、ただ何事もなくうまくいくといいな、僕が変に焚きつけたのでないといいが、などとぼんやり考えていた。毎日のように上がる活動報告。彼女は熱心に物件を探していたけれど、なかなか難航しているようだった。

そしてGW明けの5月11日。とあるツイートに目を奪われた。

なんのこっちゃと思っていると、翌日、Campfireに報告記事が上がり、思わず笑ってしまった。このエピソードは僕などが語るより、是非リンク先で読んで欲しい。

その2日後にはとにかく物件が決まったことがツイートされ、僕は祝辞を伝えた。

5月23日、物件の本契約完了の報告。

5月30日、Campfireのプロジェクトは満額で支援期間終了。

そこからは日々ボランティアが集まって怒濤の勢いで店を作り、そして6月9日、ごちゃまぜCafeメムが開店した。

開店したら行くと約束していたし、もちろん約束などなくてもそのつもりだった。

カフェがある篠崎は都営新宿線で本八幡のひとつ手前。

初めて降りた駅前の風景。向かうのは「にこにこ商店街」。良い名前だ。

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途中で見つけたラーメン屋なかちゃん。なんだか美味そう。

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さすがに我慢したけど次に行く時は入ってみたい。ドアを開け放した飲食店って無性に入りたくなりませんか。僕だけかな。

駅から歩くこと10分弱でメム到着。こちらもドア全開。招かれているようで嬉しい。

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日中の外観しか見ていなかったので、一度通り過ぎて慌てて戻ったのは内緒。

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モザイクタイルのカウンター前にはボランティアで店作りに参加した人のサインがたくさん。彼女のオープンな姿勢がそのまま反映されていることがわかる。

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青空を翔ぶ鳥が描かれた壁画。本当に美しい。羽の一部は実際に盛り上がっていて、ライティングで生まれる立体的な影が唯一無二の空間を形作っている。

描かれたのはありさんという方。

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店の片隅では白シャツ作家ヒグチトモミさんの作品が展示販売されている。完全受注生産の白シャツブランド・レタルと、amipという妹ブランドがある。どちらも素敵だ。

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そしてカレー。フルーツたっぷりで甘く、かつスパイスの効いた甘辛カレー。初めていただいた時も美味しかったが、さらに洗練されていて、この日も当然おかわりした。

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スイーツは店主の気まぐれで日替わりなので一期一会のようだ。この日は完熟メロンのムースだった。熟れ熟れになった旬のメロンが香るなめらかなムース。

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店を見渡すと一期一会なのはスイーツだけではない。支援者の手によって店自体も「生きて」いて、故に日々変わり続ける。ここはそんな場所だ。

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青い壁画もまだ完成ではないらしい。

全てが流動的で、一期一会。オープンで、落ち着いていて、とても居心地がいい。会話を楽しみながらカレーを2杯食べ、スイーツをいただき、お酒もほどほどに飲んで閉店と共に店を出た。

思えば和泉さんと出会ってわずか3ヶ月。あの日、お世辞にも明るいとは言えない表情でおっかなびっくり夢を語っていた彼女は、この3ヶ月で支援を集め、結婚し、店を開いた。それだけじゃない。「マイノリティと非マイノリティが相互理解し合えるサードプレイス」という大きな看板も、確かに結実しつつある。行ってみてそれがよくわかった。

行動次第で夢のような現実を起こし得ることは僕もよく知っている。細い糸を手繰り、ヨロヨロと綱を渡りながら、それでも一歩を踏みだすことでさんざん奇蹟みたいな経験をしたこともある。

歩みは遅いけれど、僕もまた自分自身の望んだ道を歩もう。

再びそう思えた、幸せな金曜の夜。

 

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Campfireに上がっていた開店の経緯や活動報告とその続きはこちらから読めます。