遅ればせながら、Anovaを購入しました。
お料理クラスタでは有名なのでご存知の方も多いと思いますが、ご存知ない方のために一言で説明すると、家庭用の低温調理器具の名前です。
寸胴など高さのある鍋にセットしてコンセントを差し込むとBluetooth(Wi-FiモデルならWi-Fi経由)でスマホと連携し、温度と時間をコントロールできます。本当はnanoという小型軽量版が出るのを去年から待っていたのですが、待てど暮らせど発売されなかったので、6月の父の日セールで旧モデルを買うことに。
直販で注文から5日後くらいに届きました。Amazonなどで並行輸入品も売っているのですが、保証などの兼ね合いも考えるとメーカー直販で買った方が良いと思います。
ちなみに、たかが料理になぜこんな大げさな機械が必要なのかというと、肉を固くせずにきちんと殺菌するのに使います。肉や魚のタンパク質は高温になると熱変性によって固くなってしまいます。また変性したタンパク質は水分を保持できず、どんどん乾燥してしまう。だからできる限り低温で調理して肉質をやわらかくジューシーに保ちたい、それでいて殺菌、殺虫に必要なだけの加熱はしっかり行いたい。そこで、温度管理をしっかりしてくれる低温調理器具があれば、科学的なデータに基づいてギリギリの線を狙うことができる。要するにそんな感じです。
最近はラーメン屋で低温調理された鶏胸肉が出てきます。
お昼はむぎとオリーブ、特製鶏SOBA大盛り。昼飯というより昨日の〆。鶏と和出汁のお手本のようなスープにパツッと歯切れの良い角の立った麺。ここの鶏そばは三つ葉を美味しく食べる麺として最適解のような気がする。#お腹ペコリン部 pic.twitter.com/3E5sovGFq0
— kazh (@kazhomely) May 16, 2018
買ったことはないですがおそらくコンビニのサラダチキンも同じようなものだと思います。胸肉なので原価が安いし、しっとりしてヘルシー感もあり、流行っているようです。
というわけで、まずは鶏肉の下ごしらえ。
加熱するとパサパサしがちな胸肉をしっとり仕上げる古くからの手法として「ブライニング」という塩水に漬け込む下ごしらえ法があります。ただこれについては異論もあり、加熱後の水分量は塩を擦り込むだけでもたいして変わらないという実験結果もある。
自分で試したわけではないので又聞きの又聞きという感じであれですが、肉に水道水を含ませても味は良くならないという意見に賛同したので、今回は塩だけにすることにしました。
こんな感じでしばらく置いておきます。肉は100g49円の安いブロイラー。一つは玉藻塩、もう一つはハーブソルトにしました。コンフィと名乗るからにはオリーブオイルも入れる。
加熱温度と時間はNickさんのデータを基に12Dを目指すことにしました。
というわけで、63℃90分にセット。最初セットした時は間違えて90時間になっていたのは内緒。
外に出ている部分があるとまずいので、小皿を重しに。
待つこと90分。仕上がりはこんな感じ、なかなか上出来。
時間はかかりますが基本放っておくだけなので、作り置きの1品がこれで済むと思うと楽ちんです。
余談ですが、外食業界では鶏胸肉のことをキチンフィレと表現しますよね。牛ヒレ肉のおかげか、フィレとか言われるとなんとなく高級感が漂うから不思議です(鶏肉でフィレに相当するのは本当はササミなんじゃないかという気もしますが)。貧乏時代、よく100g38円くらいのブラジル産鶏胸肉をサンドイッチにして食べたりしていたのですけど、あれも一応「チキンフィレサンド」だったのかな、とか本当にどうでも良い話ですね。
閑話休題。さて、今度は豚バラブロック。
濃く淹れた紅茶をベースに酒、醤油、味醂、砂糖、生姜、大蒜、八角、花椒。昔よく作っていた紅茶煮豚を低温調理で作ってみます。
低温調理の欠点は、煮汁が煮詰まらないこと。なのでタレを半量になるくらいまで煮詰めてから使いました。
豚バラをタレに漬けて63℃で3時間。せっかくなのでもうちょっとギリギリの線を攻めてみたいところですが、料理担当としては家庭内で食中毒を出すわけにもいかないので安全なことろから行きます。
出来上がりの断面がこちら。良い具合に火が通っている。
肉汁が出たタレは再度煮詰めて、こちらも作り置きの1品として保存。
花椒と八角が効いたオリエンタルな煮豚です。と書きながら、煮豚はそもそも東洋の料理だよねと気がついた。紅茶を使うのだからむしろオシデンタル(西洋的)とでもいうべきかしら。
低温調理の本命といえばローストビーフな気もしますが、これはまだ作ってません。以前に人から教わった炊飯器ローストビーフが美味しくてあんまり必要性を感じていないからです。
水蛸のミキュイはやってみたいな。