小さき者たち

僕は幼い頃から小さなものが好きだった。
例えば、植物ならオオイヌノフグリやキュウリグサ、カスマグサというような小さくて可愛い草花が好きで、近所の土手でそういった植物を摘んでは母に手渡していた。
小さな石を拾い集め、小さな虫達を何時間でも見ていた。
子供たちがお気に入りのタオルや毛布を抱えて歩く時期、僕が持って歩いたのは小花柄の布団カバーだった。
小さなレースや水玉模様が好きだった。

小学校に入って、花やレースは女の子のものだと言われ、自分の好みはひっそりと封印した。
流行っていたキン肉マンの方が好きなことにして、友人相手に技を繰り出した。
でも本当は、そんなものはたったの一度も見たことがなかった。
見たことがなくても、見よう見まねで覚えていった。
青が好き、スポーツカーが好き、ヒーローが好き、ロボットが好き。
だんだん僕は、元の自分を忘れていった。

大人になったある日、「ハチミツとクローバー」というマンガと出会った。
そこに出てくる男性キャラクターのシャツの柄を見て、いつの間にか時代が変わったことを知った。
その日からさっそく僕は、小花柄のシャツを探して回った。

ブログタイトルとURLを決めるにあたって、自分らしい言葉は何かと考えたとき、最初に浮かんだのがそれだった。

URLのparva(パルワ)とは「小さい」を意味するラテン語。
近縁種の中でもちっちゃいやつ、という意味で僕の好きな生き物の学名にも使われる。
ゴマフビロードウミウシ Jorunna parva
ヒメダンゴイカ Sepiola parva
ヒメコミミトガリネズミ Cryptotis parva
モツゴ(クチボソ) Pseudorasbora parva
アサヒハエトリ Phintella parva

僕もまた、小さき者だ。
小さき者の雑記帳。

それがこのブログ。